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NFTは誰のもの?著作権、所有権、
クリエイティブ・コモンズについて

OTHERSIDEを運営するYuga Labsが管理している、NFTプロジェクトBAYC(Bored Ape Yacht Club)などは、NFTの所有者に商権ライセンスを付与しています。よって所有者はNFTのイラストを使用したグッズなどを作成して、商業的・非商業的に利用することが認められています。

しかし、全てのNFTが同様の権利を許可しているわけではありません。商業的な権利を譲渡しているものから、限定的な使用のみ許可しているもの、個人使用に限るものなど、契約によってさまざまです。この記事ではそれぞれの条件の詳細と代表的なNFTプロジェクトについて解説していきます。

※この記事は2023年現在の情報なので、実際の条件は改めて公式サイトなどで確認ください。
 

NFTにおける著作権と所有権

NFTの権利でしばしば論点となるのは、著作権と所有権です。

まず著作権とは、自分の考えや感情を創作的に表現したクリエイター(著作者)に独占的に発生する権利です。著作者は、自身の作成した著作物の複製、翻案、譲渡、放送、インターネット発信等を、自由に行うことができます。
NFTについても、著作権はクリエイターにあり、NFTを購入しても、著作権が譲渡されることはありません。そのため、NFT購入者は、著作物を複製したり変形することができません。勝手に著作物をネットに載せることも禁止されています。具体的に著作権法の条文をみてみましょう。

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
(複製権)
第二十一条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
(翻訳権、翻案権等)
第二十七条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。

また、所有権というのは、物を自由に利用したり収益化したり、廃棄できる権利のことです。通常、商品を買うと所有権を手に入れられますが、NFTに関しては、購入しても所有権を得ることができません。所有権は、有体物にのみ発生すると民法で定められているからです。以下、民法の条文を見てみましょう。

(定義)
第八十五条 この法律において「物」とは、有体物をいう。
(所有権の内容)
第二百六条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。

こうした権利を見ていくと、「NFTを購入するとはどういうことなのか」という疑問が出てきます。

NFTを購入するということは、従来的な物体に伴う権利の譲渡が行われるということではなく、画像データが紐づいたトークンのみを手に入れ「特定のデジタルデータを独り占めすることができるようになる」ということです。逆に言えば、そのデータの取り扱いについては、個々の権利内容や利用できる範囲を確認して、遵守する必要があります。

以下、NFTにおける権利のタイプを見ていきましょう。


商業的権利

NFTは基本的に、購入しても著作権や所有権が譲渡されないということを確認してきましたが、著作者が商用利用を許可しているケースもあります。この場合、購入者は自由にNFTを収益化できるので、独自にグッズなどを制作し販売することも可能です。

BAYC、Azukiなどは、このような商業的権利を認めています。例えばBAYCでは、NFTを購入すると、NFTを用いた衣服などのグッズを販売でき、その利益の全てがNFT購入者のものとなります。
 

限定的商業権

限定的商業権とは、購入者がNFTを限定的に収益化できるという場合を指します。代表例はDoodles、CryptoKittiesなどです。

例えばDoodlesは、購入したNFT作品を商用利用する場合、分割や編集などはせず、そのまま全て使用しなくてはなりません。また、商品を10万ドル以上で販売する場合は、プロジェクト側に連絡を入れる必要があります。こうした規定は流動的な部分があるので、購入する際に個々のケースをしっかり確認することが必要です。
 

個人使用のみ

個人使用のみに限定された契約の場合、購入したNFTを収益化することができません。現在NFTで一番多い使用方法である、個人のSNSやメタバースのアイコンに使用することは可能です。代表例はNBA TopShots、TIMEPiecesなどがあります。
 

クリエイティブ・コモンズ(CC)

クリエイティブ・コモンズとは、作者の意志を前提に、作品の自由な流通を図るための取り組み全般を指します。クリエイティブ・コモンズ(CC)には様々な形のライセンスがありますが、NFTプロジェクトはCC0という形を取るものが多いです。
この場合、NFTの作成者と所有者の意図により著作権が完全に放棄され、作品はパブリックドメインに公開されます。結果として、いわゆる「著作権フリー」の状態になります。代表例には、Mfers、CrypToadz、Goblintownなどがあります。
よって、CC0のNFTコンテンツは、そのアートを購入していなくても自由にコピーや配布、二次創作を行うことができ、商業的に利用することができます。ソースとなるクレジットの注釈を入れる必要もありません。フリー画像としての扱いになります。

2022年には、Moonbirdsが突然CC0ライセンスを発表しました。これにより、Moonbirds NFTを持っていなくても、例えばMoonbirds NFTのイメージをプリントしたグッズを制作して販売ができるようになりました。収益は全て販売者のものとなります。


権利から見るこれからのNFT

NFTという、急速に発展途上のフィールドにおいて、まだ権利体制は個別的であり、きちんと明文化されてない故に購入者の権利があやふやなプロジェクトも多いです。購入する場合は、それぞれの契約内容や権利内容を都度確認することが重要です。

また、こうして見ていくと、NFTの権利そのものが発展途上にあることがわかります。限定的かつ独占的な権利の縛りは、NFTそのものの希少性や価値を高める側面があると思われます。しかし一方で現在、権利拡大化、CC0への動きが急速に活発化しています。私たちは、もはやNFTを購入する必要もなくNFTコミュニティの一員として自由に経済活動ができるようになっています。より開かれた、大衆によるNFTコミュニティは、さらに経済と文化に広く染み渡るものとしての新しいNFTの価値をボトムアップしていくかもしれません。
 

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NFTはまだ発展途上なので契約条件もプロジェクト毎でさまざま。よってNFTの購入を検討する場合は条件をきちんと確認するようにしましょう。また、商業的権利などの契約は著作権者次第で変更・更新される可能性もありますので、それも留意しておきましょう。